傘がなくたって走り出せ!

KEITALK 天気を楽しめば人生が楽しくなる!

修行中の気象予報士です。YouTubeでの動画投稿に力を入れています。

【天気の疑問5】雲はなぜ白いのか

 

天気の疑問シリーズ

第5回は「雲はなぜ白いのか?」

 

前回の続きです☟

k-mks437.hatenablog.com

 

 

 

【目次】

 

 

 

水や氷が白い?

 

前回は雲が水や氷の粒で出来ている

という話をしました。

 

だから、水や氷は透明じゃんか!

 

という疑問があります。

 

答えは「散乱」です。

散乱のこと覚えていますか?

 

www.youtube.com

 

こちらの動画で詳しく解説しているので

ぜひ見てくださいね!

(強引な宣伝)

 

以前のブログでも説明したのですが、

散乱は可視光が粒子に衝突して

周囲に拡散される事でしたね!

 

 

 

2つの散乱

 

以前はレイリー散乱を紹介しましたが、

実は散乱はもう1種類あります。

 

それが「ミー散乱」です。

 

もうなにがなんだか('_')

 

レイリー散乱は可視光が

自身よりもすごく小さい大気中の粒子によって

散乱されるというものでした。

 

ミー散乱は可視光が

自身と同じ程度の粒子によって

散乱される現象です。

 

つまり、可視光と散乱を起こす粒子の

大きさの違いによって散乱の種類が変わるのです!

 

そして、雲粒というのは可視光と同程度の大きさのため、

ミー散乱が発生するのです。

 

 

 

ミー散乱の性質

 

レイリー散乱の特徴を覚えていますか?

 

簡単に言うと、波長の短い色の方が強く散乱される

というものでしたね!

 

ではミー散乱はどうかというと、

散乱強度は波長によらないのです。

 

つまり、どの色も同じように散乱されて

混ざった色が私たちの目に届きます。

 

では、いろんな色が混ざった色って何色?

というところなんですが、それが白色なんです。

 

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青空の中でも白い雲

 

これが雲が白く見える理由です。

納得できましたでしょうか?

 

次回は、そんな雲って何種類あるの?

というお話をします!!

 

【天気の疑問4】雲って何で出来ている?

 

天気の疑問シリーズ

第4回は「雲って何で出来ている?」

 

今回からのテーマは

 

f:id:k_mks437:20200510210950j:plain

夏によく現れる入道雲(積雲)

 

まずは雲の基本を理解しましょう!

 

 

【目次】

 

 

 

雲は何で出来ているか

 

みなさん、雲って何で出来ているか

考えたことありますか?

 

昨年の夏に通天閣で小学生向けの

お天気教室を手伝ったのですが、

その時にした質問がこちらです!

 

【雲は何で出来ていると思いますか?】

1.綿

2.水蒸気

3.水や氷

 

どうでしょう?

 

ちなみに綿と答えたかわいい子は一人もいませんでした。。

(みんなかわいい)

 

確か2と3で半々ぐらいに割れた気がするんですが

正解は3の「水や氷」です!

 

僕が小学生なら絶対2と答えてましたね。

 

 

 

雲は水蒸気ではない?

 

まあ1の綿は置いておくとして

2と3の水・氷・水蒸気というのは

全て「H2O」が変化した形です。

 

f:id:k_mks437:20200510222353p:plain

水の相変化


これを「水の相変化」と言います。

中学校で習ったはずです!笑

 

厳密には気圧との関係や

過冷却というものもあるのでこの通りではないですが、

まあ大枠はこの通りです。

 

この図を見ながらもう一度考えましょう。

 

 

水蒸気というのは100℃以上の気体です

 

流石にこんな熱いものの集合体から

冷たい雨が落ちてくるなんて考えられませんよね。

 

そして、水蒸気は無色透明の気体です。

私たちの目には見えません。

 

つまり雲が水蒸気ではないというのは明確です。

 

 

 

水や氷がなぜ落ちないのか

 

はい、皆さんが言いたいことは分かります。

 

氷や水なら落下するでしょ!

 

水だって透明やろ!

 

1つずつ。。

 

 

まず、地球上では重力があるので

水や氷も落下します。

 

しかし、雲の粒は半径0.01mmほどで

とてつもなく小さいのです!

 

大気にはいたるところに上昇流があるので

落下する力よりも浮き上がる力の方が大きいのです。

 

だから、雲として浮かんでいることができます。

 

 

そして、この雲粒が成長して

浮かんでいられないぐらいの大きさになると

雨や雪として落ちてきます。

 

 

次回、雲はなぜ白いのか? 

 

【動画投稿1本目】青空・夕焼けの仕組み

 

YouTubeに投稿しました!

初めての動画です。

 

www.youtube.com

 

これまでブログにしてきた内容ですが、

より分かりやすい内容になっているはずです。

 

改善点は多々ありますが・・・。

2本目以降に反映したいと思います。

 

ぜひご覧ください!

 

第1回 天気予報の精度検証大会

 

勝手にやる企画第一弾。

 

今回は2020年5月3日の天気を

どのサイト(会社)が精度よく予想できたか

という検証を行います。

 

※この検証はあくまでも

今回の結果のみでの精度評価であり、

必ずしもそのサイトの精度を

正確に評価するものではありません。

遊びの延長ぐらいで参考にしてください。

 

 

予想

 

対象:2020年5月3日

三重県津市のアメダス値を参考

 

状況:津市は気圧の谷の通過により

夕方~夜にかけて雨雲が接近

 

ルール:前日2日の17時時点の予想において

雨の降り始め時間を最も正確に当てられたサイトを

精度が良いものとする。

 

 

前日17時時点での予想

 

【雨の降り始めを18時と予想】

*tenki.jp(日本気象協会

Yahoo!天気(ウェザーマップ

GPV数値予想値

 

【雨の降り始めを21時と予想】

*気象庁

ウェザーニュースウェザーニューズ

ウェザーチャンネル

 

時間は各サイトの1時間毎予報を参考

ただし、*のついているものは3時間毎予想

 

 

 

結果

 

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気象庁HP過去の気象データ 津(2020.5.3)

 

結果は降水量0㎜ながら、19時から降水を確認

 

従って、一応18時の方が精度が高かった?

という微妙な結果になりました。

 

tenki.jp(日本気象協会

Yahoo!天気(ウェザーマップ

GPV数値予想値

が的中したということにしておきましょう。

 

 

すみません、思いつきで始めたので

降水開始時間しかメモをしておらず

こんな曖昧な結果となってしまいました(笑)

 

僕の記憶では、ほとんどのサイトが

どこかの時間帯で1㎜以上の雨を

予想していたように思うのですが、

パラつく程度となりました。

 

 

過去の雨雲レーダー(2020年05月03日) - 日本気象協会 tenki.jp

 

☝によると、16時ごろから

三重県中部には雨雲がかかっていましたが、

津の降水は観測されませんでした。

 

おそらく、津の観測地点が海側にあって

雨雲の流れ込みが遅くなったと思われます。

 

 

 

気が向いたらまたやるかもしれません。

今度はもう少ししっかり検証したいと思います。

 

今自分で思うだけでも、

3,4点の検証不十分な点があります。

 

あなた理系失格です。

 

いい感じの検証方法などがあれば

ぜひ教えてください。

 

それではまたの機会を。

 

【天気の疑問3】紫の空が存在する!?

 

天気の疑問シリーズ

第3回は「紫の空が存在する!?」

 

今回は不思議な空について

皆さんにご紹介します。

 

実は原理としては

前回までのブログと同じです☟

 

k-mks437.hatenablog.com

 

今回は写真多めでお届けしますが、

自分で撮ったものがほとんどありません。。

 

フリー画像さん
ありがとうございます!

 

 

【目次】

 

 

 

「マジックアワー」という時間帯

 

日の出前や日の入り後の時間帯を

マジックアワー、または薄明と言います。

 

マジックアワーは撮影用語らしいです。

 

この時間は太陽が地平線よりも低く、

時間の変化に合わせて美しい空が現れます。

 

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マジックアワーは太陽が地平線よりも低い位置にある。

 

この時間帯は散乱によって

不思議な色の空を見ることができます。

 

 

 

紫の空がある!

 

マジックアワーには

紫色の空を見ることができます。

 

f:id:k_mks437:20200507004112p:plain

紫色に染まる空。(フリー:霧ヶ峰高原

 

紫の空の仕組みは意外と簡単です。

 

朝焼け・夕焼けによる赤い空と青空が

薄い雲を通して混ざり合います。

 

雲の中で散乱が起きることで

色が混ざり合うようです。

 

また、マジックアワーでなくても

大気の湿度が高くなることで

紫色が出現することがあります。

 

 

 

緑の空はあるのか?

 

皆さんは緑色の空を見たことがりますか?

僕はありません。

 

実際、緑色の空の画像を調べてみたのですが

思ったような画像がありませんでした。

 

 

f:id:k_mks437:20200507024344p:plain

「緑色の空」で出てくるのはだいたいオーロラの写真。(フリー:アイスランド

 

この写真はオーロラなので

全然原理が違います。

 

紛らわしい写真出すなや!

 

ここまで目撃が少ない理由は

緑色の波長域が小さいことや

人間の知覚の問題があるようですが、

ネットの情報なのでよくわかりません。

 

ただ、一瞬太陽の周りが緑色になる現象は

僕も写真で見たことがあります。

 

 

 

空を見上げよう!

 

マジックアワーの空には

これ以外にも「ブルーモーメント

と呼ばれる青い空があります。

 

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「ブルーモーメント」と呼ばれる青い空。(フリー:厳島神社

 

これは、空気が澄んでいるときに現れるようです。

 

僕は朝起きるのが苦手なので

なかなかこの空を見ることができないのですが

早く起きた朝や夕方はぜひ空を見上げてみてください!!

 

【天気の疑問2】なぜ夕焼けは見える?

 

天気の疑問シリーズ

第2回は「なぜ夕焼けは見える?」

 

前回は空が青く見える理由をお話ししました。

今回は夕焼けの謎についてです。

 

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この写真は朝日ですが、夕焼けと原理は同じです。(撮影:南三陸町の海岸)

 

実は前回のスピンオフというか

原理としてはほとんど同じなんです。

 

 

【目次】

 

 

 

 

基本原理の復習

 

前回のブログを見ていただくのが

一番わかりやすいですが、

簡単に復習しましょう。

 

まず、私たちが見える「可視光」には

赤・橙・黄・緑・青・藍・紫

の7色があります

 

赤が一番波長が長く、

右に行くほど波長が短いです。

 

そして、レイリー散乱」により

波長が短い色(つまり青系統)が

強く散乱されるのでしたね。

 

これが空が青く見える理由でした。

 

 

 

昼間と夕方では何が違う?

 

今回はさっそく本題に行きましょう。

 

実は一番重要なことは

朝・夕方と昼間は何が違うのか?

ということです。

 

当たり前ですが、

太陽の角度が違うんですよね。

 

f:id:k_mks437:20200505192057j:plain

昼間と朝・夕では太陽の入射角が変わる。

 

薄い水色は地球の大気を表しています。

(わかりやすさのためかなり誇張)

 

この図を見ると

朝・夕方の方が大気中を通る距離が長い

ということが分かると思います。

 

これが要因です!

 

え、どういうことですか?

 

もう少し詳しく説明します。

 

 

 

なぜ空がオレンジになるのか

 

大気中を通る距離が長いということは

散乱される波長が増えるということです。

 

前回の図を書き足します。

 

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昼間に届いていた青色の波長は、夕方には届く前に散乱する。

 

これが夕焼け・朝焼けの謎です。

 

大気中を通る距離が長くなったことで、

昼間に届いていた青色の波長は手前で散乱して

もっと波長の長い赤や橙が残るのです。

 

 

 

ちょっと脱線

 

どうでしょうか、お分かりいただけましたか?

 

もしかしたらこのあたりの説明は

教育テレビや天気予報のコーナーで

やっているかもしれませんね。

 

ちなみに僕もこの前テレビで見たのですが、

朝や夕方に太陽が大きく見える理由は

人間の目の錯覚によるものらしいです。

 

なんか不思議だな~

 

気になる方はググってみてください!

 

空の色シリーズ、もう一段続くかも。

 

【天気の疑問1】なぜ空は青いのか?

 

天気の疑問シリーズ

第1回は「なぜ空は青いのか?」

 

当たり前なのですが、

その理由を考えたことがない人は多いかもしれません。

 

 

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空の青さと海の青さは全く違う理由らしい。(撮影:浄土ヶ浜

 

物理を習った人は分かると思うのですが、

少し考えてみましょう!

 

 

【目次】

 

 

 

 

可視光は「散乱」する


まず前提として、

私たちが普段見ている光というのは「可視光」

と呼ばれる波長域です。

 

この可視光の中には、波長が長い順に

赤・橙・黄・緑・青・藍・紫

の7色が含まれています

 

虹をイメージするとわかりやすいと思います!

 

 

実はこの可視光というのは

空気中の分子と衝突すると

周囲に広がるという性質を持っています。

 

これが散乱という現象です。

 

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可視光が空気中で散乱されて目に届く。


このように私たちは「空の色」を

見ることができるのですね。

 

じゃあなんで青色だけ見えんねん!

 

まあそう焦らずに・・・。

 

 

 

レイリー散乱という概念

 

 

先ほど「散乱」の話をしたのですが、

その中でもレイリー散乱という概念が

大きく影響しているのです。

 

このレイリー散乱というのは

波長が散乱を起こす粒子よりも非常に大きいとき

に発生します。

 

 

実際に比べてみます。

 

可視光の波長は10の-6乗メートル

分子の大きさは10の-10乗メートル

 

よくわかんね・・・

 

何が言いたいかというと、

可視光の波長は分子の約1000倍もある

ということなんです。

 

レイリー散乱は10倍程度で発生するらしいので

十分条件を満たしていますね。

 

 

 

空が青い理由

 

やっと本題にたどり着きました。

 

空が青いのは紛れもなく

レイリー散乱の性質によるものです。

 

それは「波長が短いほど散乱強度が強い」

という性質です。

 

 

思い出してください!

 

可視光は波長が長いものから

赤・橙・黄・緑・青・藍・紫

でしたね。

 

その中でも、青よりも短い波長は

地上に届く前に散乱されます。

 

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青よりも短い波長は上空で散乱される。

 

そして、残った赤から青の中で

波長が短い青色が強く散乱されて

私たちの目に届くのです。

 

これが空が青い理由です。

 

 

 

まとめ

 

つまり、この「レイリー散乱」という概念と

色の波長の違いが青空として

私たちの目に映っていたんですね!

 

納得できましたでしょうか?

 

ちなみに青色の波長は赤色よりも

約6倍も強く散乱されているんです!

 

もっと詳しく知りたい人は

レイリー散乱の物理式なんかも

調べてみるといいと思います。

 

気象予報士試験を受ける人は

この性質を頭に入れておきましょう!

(学科一般の範囲です)