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修行中の気象予報士です。YouTubeでの動画投稿に力を入れています。

台風15号に関する「声」を聴いて。

 

みなさん、台風15号の被害は大丈夫だったでしょうか?

現在(9月12日時点)でも、千葉県を中心に40万戸近くが停電しています。

 

一日でも早い復旧をお祈りしております。

 

さて、Twitterなどを覗いていると各方面から様々な声が聞こえてきます。

実際に自分も様々思うことがあるし、皆さんも各々に思うところがあるのではないでしょうか?

 

自分は防災士の資格を持ってはいるものの、被災経験もないし専門家でもありません。

 

しかし今後の災害被害を減らしていくうえで、「普通の市民が声を上げる」ということは非常に重要だと思っています。

 

防災研究者の偉い人たちよりも、我々一般市民のほうが圧倒的に人数が多いわけですし、こういう問題から逃げて他人任せにしていて最後に自分が苦しむ、というのは嫌なので。

 

このような災害が起きた時こそ、一人ひとりが今後の防災について考える機会にしていかなければならないと強く感じます。

 

 

 

目次

 

 

 

台風15号概要

 

今回の台風は気象庁の事後解析がまだ行われていないため、ネットで収集した速報値を載せておきます。

 

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特務機関NERV 速報値

 

あくまで速報の推定値です。

上陸は午前5時前ですから、上陸約4時間前の情報になります。

 

この台風は上陸前から風の強さが注目されていました。

この時点で勢力は「非常に強い」となっています。

 

これほどの勢力で関東に接近・上陸したのは、過去にも数えるほどではないでしょうか。

 

そして進路図です☟

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気象庁HP

 

台風の風は進行方向の右側で大きくなるのが一般的で、今回の被害の大きかった千葉県などは進路の右側に位置していたことがわかります。

 

ただ勢力が大きかったこともあり、右側だけに関わらず関東圏では広く被害がありました。

 

また、複数の河川が氾濫危険水位に到達するなど雨に関する被害もありました。

自分も友達の最寄り駅が冠水しているニュースを見て衝撃を受けました。

 

 

 

災害報道をどう受け止めるか?

 

そもそも自分は災害報道の文句を言いたくてこの文章を書いているのではなく、「災害報道とどのように向き合っていくか」ということを皆さんと考えたいと思い、書いています。

 

別に被災した際の情報収集の方法を書いているわけではなく、生き延びるすべを書いているわけでもありません。

第一に電波が寸断されてしまえば、報道云々とか言っている場合ではなく、近隣で声を掛け合って生き延びるすべを考えるしかありません。 

 

まずはそれをご理解いただきたいです。

 

 

 

災害報道の意味を考える

 

災害情報の意味としては

①命を守るため 

②生き延びるため(復旧支援) 

③生活を取り戻すため(復興支援) 

④防災意識向上のため

 

と4つに分けて考えています。

これは定義があるわけではなく、自分の中の考え方です。

 

せっかくなのでこの際に簡単に説明しますが、「復旧」は生活に関わるライフラインなどを元に戻すこと、「復興」はその後どうやって日常生活を取り戻すのか と認識していただければいいと思います。

 

 

そもそも「発災前」「発災時」という用語は明確な定義があるわけではないのですが、ここでは、災害発生前~ライフラインが復旧するまで とします。

 

先ほどの分類では

①命を守るため ②生き延びるため が対象になります。

 

ここで報道に求めるものは「被災地への情報提供」です。

とにかくこれが何よりも最優先です。

 

 

そして「発災後」を、ライフライン復旧後 とします。

ここでは ③生活を取り戻すため の情報が必要になってきます。

 

この時点で求められるものが「被災地の状況を他地域に伝える」という部分です。

 

 

まず、この①~④を混同して報道を批判するのは、あまりにも感情的で根本的な解決には繋がらないと思います。

 

例えば今回の台風で、「営業しているガソリンスタンドの位置がわからない」や「食糧や水が手に入る場所を知りたい」というのは①②の問題であり、外部の人間が「停電のニュースを全然してないじゃん」と言っているのは③④の問題です。

 

 

 

 

「東京のことしか報道しない」問題

 

この問題は災害があるたびに声が上がります。

 

自分としても「東京のことしか報道しない」とまでは感じていないものの、確実に地方格差は存在すると思います。

 

ただ、この地方格差の問題については仕方ないと諦めています。

これはテレビに対する失望からの諦めではなく、テレビという性質上仕方のないことだと思うし、批判的な感情もありません。

 

この考えを持ったのはごく最近であり、これまでは「東京で雪とかどうでもええわ」と思うことも多々ありました。

 

テレビ局は一般的に東京にキー局があり、それに次ぐ中枢都市がサブキー局、そして地方局という流れになっています。

この順列がある限り、地方の災害を東京のキー局から全面的に流せるのか?というところはかなり厳しいと思います。

 

地域格差をなくそうとすると、毎日のようにキー局は災害情報を組み込まなければいけません。

もちろん命にかかわる情報より優先する情報はありませんが、そんなことをしているとテレビという業界が成り立たなくなります。

 

そもそも、発災前・発災時に第一にすべきは「被災が予想される地域への情報提供」「被災地域への情報提供」であり、そこが達成されているかどうかが問題であるべきだと思います。

 

それが達成されていないのであれば、我々は報道に対して意見を言っていかなければいけませんし、達成されているのならば地域格差は本質的な問題ではないと思います。

 

 

 

「被災地のことを知ってほしい」という声

 

ただ、今回の台風被害に関しても「全国の人に被災地の状況を知ってほしい」という声はかなり多くあります。

それも非常に大切なことだと思うし、全国のニュースでも時間を割いて伝えるべきだと思います。

 

しかし、ライフラインが復旧していない状態で被災地の状況が伝えられても、我々は復旧を祈ることしかできませんし、良かれと思って起こした行動が逆に被災者の負担となるケースもあり、安易に行動は起こせません。

ですから「被災地の状況を伝える」ということが“最も”重要となるのは復興の段階に入ってからだと思います。

 

テレビは不特定多数に情報を伝えるメディアであり、復旧支援を促す手段としては不向きです。

仮にそういうことをしてしまうと、先の熊本地震の時のように避難所がパンクするような事態になってしまいます。

 

そもそも、ライフラインが途絶されている状況で報道側がどこまで状況を把握できるのか、という疑問もあります。

 

そういった時に自分たちの状況を発信できるのが「インターネット」であり「SNS」であると思います。

“別に物的支援とかを求めるわけではないけど全国の人に知ってほしい!”というような内容は、SNSの長所を一番発揮できます。

 

 

しかし先にも述べましたが、発災後(復興)の段階で重要なのが「被災地の状況を他地域に伝える」ということ だと思うのです。

 

被災地が支援を受け入れる準備ができた段階で、例えば義援金を募ったり、被災状況を伝えて同じようなことが起こった時にどうするかを多くの人に考えさせたりできるのがメディアの強みだと思います。

 

 

 

メディアがすべてを伝えることは出来るのか?

 

多くの人がメディアに求めている理想は「被災者の負担にならないことを前提に、災害の状況をできるだけ多くの人に伝える」というところです。

 

ただ実際には、同じ被災者の中でも「もっと報道してほしい」という人と、「そっとしておいてほしい」という人がいるのが現実であり、報道が我々の希望を100パーセント実現することは不可能 です。

 

そこを理解したうえで建設的な意見が増えてくれば、また災害報道のあり方も変わってくる可能性があると思います。

 

 

正直、メディアに求めることを言い出したらキリがありません。

 

今回の台風でも、千葉県等の停電状況を十分に伝えられているのか?

伊豆諸島など離島の状況は報道しないのか?

先月の九州北部の水害はどうなったの?

 

自分は三重県出身ですから、この台風前に三重県北部を中心に起こった水害のことは報道してくれないのか、と思ったりもします。

 

ただ、いくらテレビの影響力が強いからと言って、これだけ依存してしまっている状況は改善していかなければならないと感じます。

 

これだけ情報の多様化が進んだ時代ですから、ネットをうまく利用して情報収集・発信をしていかなければならないと思いますし、もっとネットの情報の信頼性・多様化についても考えていく必要があると思います。

 

 

以上、災害報道について頭の中で考えていたものを吐き出してみました。

 

 

 

個人レベルの防災が出来ているか?

 

そもそも自然災害は誰のせいで起こっているわけでもないのですが、だからこそ誰かに怒りや批判をぶつけたくなる気持ちはわかります。

 

国が、行政が、報道が・・・

 

そういう意見は、この災害大国を生き抜くには必要なことでもあると思います。

(ただ、建設的な批判であることを願っていますが。。)

 

でも、少し振り返って「自分個人の準備」を見つめてほしいのです。

 

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個人的なイメージ図


防災の考え方は人それぞれ違うのでこの図に納得がいかない人もいるでしょうが、自分はこういうイメージを持っています。

 

最後は国や行政に頼らなければならない部分が出てくるものの、あくまでも根底にあるのは「個人」です。

 

もちろん100%の準備というのは不可能ですが、それに近づけるための行動をどれだけ取れているのか?

 

 

例えば今回被害に遭った人の中で、前日に食料や水を買い込むなど対策を取った人がどれくらいいるのか?

少なくとも前日時点で関東に台風が直撃するのはほぼ明白だったわけですから、その情報を知ってて対策をしなかったのか?

なぜ対策が出来なかったのか?

対策をしたうえでそれを超える被害に遭ったのか?

 

まずは日常を取り戻すことが最優先ですが、落ち着いてきたらそのあたりを明確にしないと何度も同じことの繰り返しです。

 

 

自分自身の答えとしては、正直30万戸以上が3日以上の停電というのは想像しきれなかった被害であり、甘く見ていた部分です。

 

ただ台風の勢力を考えても、1日程度の停電は想像できる範囲であり、メディアやネットでも避難用品の準備など声掛けが行われていました。

 

ほとんどの方がそういう対策をしていなかったのではと思います。

 

 

個人レベルの防災については、いかに主体的に行動するか、つまり「防災を“自分事”として認識する」というのが永遠のテーマです。 

 

そして、そのような行動をとれている人の多くが何らかの被災経験を持っている人だと思うのです。

 

でもそれはほんの一部に過ぎず、被災経験のない人にどうやって防災に興味を持ってもらうか? ということを考えていかなければなりません。

 

実は自分も、被災経験ゼロで防災に興味を持っている一人です。

辿ってみると、始まりは「自然が好き!」というところでした。

 

しかし、学校で受けた防災の授業を振り返ってみると、ただただ「自然の恐ろしさ」を伝えることに終始していた記憶があります。

 

それも大切なことだとは思いますが、自然の美しさ・自然現象の面白さ・地球の不思議さなど、もっと“プラスイメージ”から興味を持たせる方法もあるのではないかと感じています。

 

そこを目指してこれからも行動していきたいし、情報発信も続けていきたいと思います。

 

 

 

最後に読者の皆さんへ

 

ここまで読んでいただきありがとうございました。

文章力のなさで読みづらい部分もあったとは思いますが、言いたい内容は伝わったのではないかと思います。

 

途中でも書きましたが、防災の考え方は本当に多種多様です。

この記事を読んで「そう思う」と感じる方もいれば、「違う」と感じる方もいると思います。 

 

出来ればそういう皆さんの想いを“共有”させてほしいです。

 

そして、この答えのない問題を皆さんと一緒に考えていければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

 

 

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